■社会貢献 ファン創る CSR新時代(日経流通新聞MJ 2/10)


久しぶりにウェブではなく紙面から。

日経流通新聞MJは正月号の特集からCSRと社会貢献を取り上げていて、今年の力の入れよう、あるいはトレンドを感じさせますが、今回はトヨタの新型ハイブリッド車「アクア」のプロモーションにおいて、社会貢献活動を組み込む、という話題です。



「アクア ソーシャル フェス」という今回のプログラムは、全国各地で自然保護活動を行うというプロモーション活動。トヨタの社員も参加し、毎回約50名が一緒に汗を流します。活動中にアクアの展示や試乗を行う事もなく、必要な道具を運搬する程度の露出とのことで、名称に「アクア」とある以外は、まったく販促という感じがありません。



・・・というか、単なるボランティア活動?



と、やや突っ込みたくなってしまう感じですが、活動の費用は社会貢献ではなくプロモーションの予算から捻出するそうで、仕掛け人であるマーケティングディレクターは「新商品を売り込みながら組織的に社会貢献するのは初めて」と意気込んでいるそうです。



月販販売目標1.2万台に対して、すでに約12万台という受注があったというアクアに、そもそも販促が必要なのか?という気もしますが、現在の購入客は50代以上の男性が約3割。プリウスがターゲットとしている層とかぶってしまっている上、アクアの本来のターゲットである20代〜30代へはやや訴求が弱い状況。



一方今回のソーシャルフェスの認知度は20代が最も高く、応募者も20〜30代が多いとのこと。つまりこれは初期受注が一段落した後、長期的に客層を若い層にシフトさせていくためのプロモーションという事なのでしょう。



若者のクルマ離れが叫ばれる中、こうしたアプローチがどう影響を及ぼすかは興味深い所です。







さて、全然関係ないのですが、同じ紙面でちょっと気になってしまったのが、下段にあった「監督官がやってくる!」という本の広告。



「戦後動乱期を超え労使トラブル激増!」という刺激的な見出しで、退職従業員のサービス残業代請求が増えており、その代行ビジネスが盛んになりつつあると警告しています。



そこにこんな事例が・・・



<朝礼、朝の清掃はありますか?営業に携帯を持たせていませんか?>



考えてみたら、携帯電話で「勤務時間外に」何か業務対応すれば、残業(時間外勤務)という事になります。これをサービス残業として請求されることになれば、すごいことになりそうです。



ふと思いましたが、逆に在宅勤務やモバイルワークを進める上で、「携帯電話をオンにしている時間を勤務時間としてカウントする」仕組みがあれば、きちんとした時間管理にもつながり、会社携帯を持つ側も「オフにする」口実ができてよいのかもしれません。



みなさんは会社携帯の電源をどうされているでしょうか。

■元審議官「嫌だったが妻の取引だから」インサイダー否認(asahi.com 1/30)


http://www.asahi.com/national/update/0130/TKY201201300069.html

※リンク切れはご容赦願います。



そうですか、元審議官で現在は大臣官房付となると、相当な地位にあるということだと思いますが、そんな人でも奥さんには頭があがりませんか・・・ちなみに、もしこれが本当だとしたら、



・奥さんを大切にする愛妻家

・奥さんを恐れる恐妻家



のどっちなんでしょうね・・・という感想はさておき、自分だろうが妻だろうが、経済産業省に勤めているような人が、そもそも株取引をしても良いのでしょうか、というのが素朴な疑問。



先日ポッドキャストで耳にしたのですが、日経の記者さんは家族を含めて株取引は禁止だそうで、奥さんがある日突然「カブを買った」と話すのにびっくりしたという笑い話(もちろん株ではなく蕪の話)とともに紹介されていました。



経済産業省にはその程度の内規(本人についてはあるようですがそれも「担当している企業」という緩さ)もないのか・・・かりに明文化されていなくても、暗黙の了解さえないのか、ということで、この問題は「インサイダー取引」という次元とは別の議論が必要なのではないか、という気もします。

(組織としてのガバナンスや、関係者としてのモラルといった話でしょうか。)



もっとも逆の見方をすれば、こうした「関係者」が買わないと、株式市場自体が成り立たないという「購入は必要悪」みたいな時代があって、その名残という事なのかもしれません(注:想像です)。



それにしても、それって通る言い訳かよ!と思ってしまうのがこのセリフ。



「自分が担当する業界の株を購入するのは嫌だったが、妻の取引だからと思って最終的に引き受けた」



せめてもう少しましな物言いはありませんか。



「自分が担当する業界の株を購入するのは問題だと思ったが、妻の取引だと思って最終的に引き受けた」

「自分が担当する業界の株を購入するのは嫌だったが、妻の取引なので断れなかった」

「自分が担当する業界の株だが、妻の取引なので問題ないと考えた」





・・・だめか。○| ̄|_

■アサヒビール 営業担当者にiPad導入、「直行直帰」増やしワークスタイル変革(ITPro 1/26)


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20120125/379314/

※リンク切れはご容赦願います。



アサヒビールさんが約150人の営業にiPad2を配布し、モバイル環境での仕事を支援する体制を整える、とのこと。見出しにあるように、「直行直帰」を増やし、取引先への訪問時間を増やす事を狙っているようです。



導入は2012年4月から。「iPadってそろそろ3の噂があるけどなぁ・・・」というのはさておき、基本的に決められたアプリで使う場合には多少型落ちでも問題ありませんし、すでに試験運用は済ませて効果も実証済みのようです。



iPadは私も(1ですが)使っていますが(もちろん仕事以外)、実際「何でもする」のではなく「これとこれとこれをする」と決めてしまえば非常に便利です。今使っていての不満はといえば、Wifiモデルにしているために「どこでも通信可能」という訳にはいかない点ですが、そのあたりも使い方の問題でしょう。(おそらくアサヒビールさんは3Gモデルを導入すると思いますが・・・。)



また、実際にお目にかかったことはないのですが、動画や資料をiPadで見せる事のプレゼンスはどうでしょう。何回か目にすれば当たり前になるでしょうが、最初の数回はお客様も興味津々かもしれません。(そしてむしろライバルとしてはそれが普通になって以降のデバイスの落差をどう埋めるか、が問題になるかもしれません。)



さて、こうしたワークスタイルの変革でちょっと気になるのは、従来あったような「コミュニケーション」の部分はどう維持するの?ということ。日本的といえば日本的ですが、こうしたノマドワークを薦めようという時に、まず反論として挙げられる事が多いだけに、アサヒビールさんではどのように解消しようと考えているのか、ちょっと興味があります。



アフター5(古い・・・)に、集まるスケジュール調整のための独自アプリが入っていたりして・・・(笑)



ところで、実は記事の中でどうしても気になってしまった事が・・・



現時点ではiPadから社内の業務システムにアクセスするためには、各社員の自席パソコンを立ち上げておく必要がある



えええええっ!?



実際のところどうするんでしょうか。社内の業務システムに外からアクセスできることに意味があるのに、そのためには自席のパソコンを立ち上げておかなければならないなんて・・・。



もちろん今後直接アクセスできるような環境は整えていくようですが、なんとも気になってしまう記事なのでした。

■揺らぐ口コミの信頼性、「やらせ」排除へルール化急務 (日本経済新聞 1/19)


http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819499E3E5E2E1998DE3E5E2E3E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2

※リンク切れはご容赦願います。



またも口コミネタで恐縮ですが、「ステマステルスマーケティング)」という言葉もずいぶんと見かけるようになってきました。



ただ、冷静に考えると、こうした「口コミサイト」でのやり取りはそもそも「口コミ」なのか?という疑問がわいてきます。



リアルな世界での「口コミ」を考えてみましょう。

多くの場合の、その情報伝達は「知っている人」同士のやり取りです。Aさんが知り合いのBさんに話し、Bさんが(Aさんの知らない)Cさんに話し・・・という形で伝播していくのが口コミの基本形ですが、それぞれのタッチポイントに置いては知り合い同士である事が前提でしょう。



多少例外的にパーティーなどでの初対面同士といったケースはあるでしょうが、それも場を共有した者同士であり、たとえば「電車の中での会話」を周囲の他人が聞いてそこから・・・というのは、口コミとは言わないはずです。



一方でネットの口コミサイトにはそういった「知り合い同士」という関係はありません。そういった意味では、実は先に挙げたような電車の中での会話や、街で見かけた行列、さらに言えばメディアによる報道などに近い気がします。



口コミにおいて、その情報の信頼性を担保しているのは、やり取りする者同士の関係から生まれる信頼感、特に発信者に対する受信者の共感にあります。情報の内容ではなく、関係性から生まれるのが「口コミの信頼性」でしょう。



一方、報道や行列というのは、「情報の正確性」「積み重ね」により信頼性を獲得します。報道は後からの繰り返しの検証、行列は何度も目にすることによって「確かそうだ」という信頼感につながります。



口コミ「サイト」が提供しているのは、有名な個人であれば報道のように、無名の多数であれば行列のように、積み重ねを経て「信頼できる情報になるだろう」という仕組みでしょう。



でもそれって元からある信頼関係を担保にした「口コミ」とは違うし、そもそもそれを「口コミ」なんて呼んでしまった事に問題があるんじゃないの・・・そんな事を考えてしまうのです。

■ダメ出しより「いいね!」 「ほめ達」検定受けてみた(日経電子版 1/13)


http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819FE1E3E3E2E2E38DE3E3E2E3E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2

※リンク切れはご容赦願います。



コンピュータ(Computer)を傍らに育ち、知人とのつながり(Connected)を重視する世代を「C世代」というそうですが、そのやる気を引き出したい管理職向けのセミナー「ほめる達人検定」というのがあるそうです。



記事で紹介されている調査によれば、「ほめる管理職」の下で働く場合と「ダメ出しをする管理職」の下で働く場合とでは、特に35歳以下の若手社員において、企画の提案の積極性などに差がみられるとのこと。



記事には、3級の検定試験(例)が紹介されていて「ほめる言葉を書き出す」「短所を長所に言い換える」「周りの人の素晴らしい点を探す」といった設問が並んでいます。やってみると結構難しいです。



さて、「ダメ出し」「叱る」といった行為は、もちろん当人は「相手のため」と思っているわけですが、実は突き詰めると「自分の満足のため」という捉え方もできます。もちろんそうした言葉に奮起する人もいますが、それは「相手の素養」の問題であって、自分の「ダメ出しの仕方がうまかった」からではありませんよね。



一方「ほめる」というのは、「相手の満足のため」に自分自身が努力することが(多くの場合)強いられます。相手のそういった点を見つけ出す観察力、上手に伝える伝達力があって、初めて相手に満足をしてもらい、行動を変えてもらうことができます。



さて、みなさんは「ほめる達人」になれるでしょうか。

もちろん大切なのは、「周りの人に」ほめる達人になってもらう事ではなく、「自分自身が」ほめる達人になることですよね。

■放置車両、ヤフオクで売ります 宮城県警が違反金対策(asahi.com 12/22)


http://www.asahi.com/national/update/1221/TKY201112210651.html

※リンク切れはご容赦願います。



警察という組織にしては思い切ったやり方と言うか・・・。



駐車違反などの違法放置車両の罰金がなかなか払ってもらえないということで、宮城県警が打ち出したのが、問題の車両を差し押さえて、ヤフオクで販売することで、その違反金にあてるという大胆な試み。



話だけ聞くとジョークじゃないかと思ってしまいますが、もちろんきちんとしたニュースです。



ちょっと危惧してしまったのは、法律的にそんなことを許されるのか、という部分。ただまぁこれは警察がやっている事ですから、おそらくクリアできているのでしょう。あくまでも「未納者」が対象ですので、いきなり差し押さえられるわけでもありません。



とはいえ、今後駐車違反に関しては、問答無用でレッカーで差し押さえ、オークションで競売して罰金にあてるというのは、ちょっと面白い気がします。もちろん本人が買えるようにする=罰金という訳ですが、高額でレアな車ほど、注意しないと莫大な違反金を払うことになる、という訳ですね。

(もっとも、その筋の方の車を落札してしまった日には、後で大変な目にあうかもしれませんが・・・。)



ところで、差し押さえられて競売された車の税金とかってどう処理されるんでしょうか。処分費用がもったいないとわざと放置して競売にかけさせるなんてことも起こりそうです。効果が表れていると記事にはありますが、続けていくと色々と課題も出てくるのかもしれません・・・。

■「脱原発は困る」 電力労組、民主議員に組織的な陳情(asahi.com 12/1)


http://www.asahi.com/national/update/1201/TKY201111300881.html

※リンク切れはご容赦願います。



全国の電力会社や関連企業の労働組合で構成されている電力総連が、原発存続のための陳情活動や支援を民主党の国会議員に対して行っていた、という報道。

トーンとしては「票とお金にものをいわせる電力関係者」という感じでしょうか。電力総連が豊富な政治資金を持つことも紹介されており、その影響力を民主党議員に対して行使しようとしているという内容になっています。



うん、私も何だかなあと思います・・・が、ふとこんなことも考えてしまいました。



脱原発派は、どういったアプローチを政治家に行っているのだろうか?」



陳情にせよ献金にせよ、違法な話ではありません。一見わいろのような取り上げ方がされていますが、自分たちの主張を代弁してくれる相手を支援するのは当たり前です。



そもそも、ある物事に対して、意思決定権を持っている相手に訴えるのは当然です。ある企画を通したいと思った時に、上司を説得するのではなく、酒場でくだを巻いていたら、実現されるはずがありません。



また、何か行動するには資金は必要です。脱原発派の議員が、現地を視察し、データをそろえようと考えた時に、それに対する資金援助はどれぐらい行われているでしょうか。そうした彼らに支持を伝えるという活動はどれぐらい行われているでしょうか。



ソーシャルメディアで多くの支持を集めたオバマ大統領にしても、実際の選挙活動の支えとなったのは、それらを通じて得られた膨大な個人献金と言われています。ソーシャルメディアでの支持は、精神的な支えにはなっても、物理的な行動を支えた訳ではないでしょう。



であれば「政治活動」として捉えた時に、本当に真剣に活動しているのは実は電力総連の側ではないか・・・そんな事を考えてしまったのです。





そしてもう一つ注意しなければいけないな、と思ったのは、この報道がさらなる「政治離れ」を呼ぶのではないか、という事です。「お金や票がものを言う」のが現実なのに、それが問題であるかのような雰囲気があれば、「それを上回る援助と支持者を集めよう」という動機づけは難しくなります。



結果として脱原発派の主張を「酒場のくだまき」に押しとどめてしまう事につながるのではないか・・・そんな気がするのです。



せめて、(規模はどうであっても)脱原発側の同様の動きも伝えるような内容であれば、より多くの支持を集めることにつながったのではないでしょうか。