■バイオマス発電促す 政府 設備導入に補助(日本経済新聞夕刊 11/9)


バイオマス発電というのは、生ごみ間伐材、家畜の排せつ物など、主として生物に由来した物質を燃料とした発電のこと。記事では、政府が来年度から導入を補助する制度を創設し、規制も緩和。さらに全国20カ所をモデル地域として募り、エネルギーの「地産地消」も進めると紹介されています。



バイオマス発電は再生可能エネルギーの一つですが、資源を燃料として用いて発電を行うことから、太陽光や風力に比べて安定しているというメリットがあります。

一方で、燃料となる廃棄物の収集や処理など、コストは高め。地産地消のモデル地域では、そうした廃棄物の収集から発電、供給までを地域内で完結する事をめざすそうですが、そうした循環サイクルを回していくには、やはりそれなりのコストがかかってしまいます。



とはいえ、バイオマス発電の燃料となる食品廃棄物や間伐材は、ゴミとして処理をすると考えればやはりコストがかかるものなので、考えようによっては一石二鳥とも言えるでしょう。

政府の試算では、大半が埋め立て処分される年間2,000万トンの食品廃棄物、

放置されたままの800万トンの間伐材を有効活用すれば、280万世帯(全世帯の5%)分の電力をまかなえると試算しているようです。



それでも5%ですか・・・というのはさておき、実は読んでいてちょっと気になってしまったのが、モデル地域の候補地の考え方。



「家畜のふん尿などバイオマス発電の燃料が豊富な農村地区を中心に候補地を選ぶ方針だ。」



???



元の発表がそうなのか、記事のまとめ方に失敗したのか、食品廃棄物の多くは農村部よりもむしろ都市部で発生しているはずです。間伐材は山野部ですが、農村からはやはり離れている印象があります。



結局のところ、これは何を解決する事につながるのでしょう。

まさか「農村票」ではないですよね・・・。



燃料となる物質がどこで発生し、それをどこに運んで発電し、どこに供給するか・・・震災瓦礫の広域処理でも問題になっているように、何かを運ぶというのはそれだけで一定のコストになります。さらに地産地消を考えるのであれば、(燃料)需要と供給のバランスが取れるかという問題もあります。



あるいはそうしたちぐはぐさが、バイオマス発電の問題点なのかもしれません。