「世界が日本人の生活すれば地球2.3個必要」 WWF(asahi.com 8/26)

http://www.asahi.com/eco/TKY201008250505.html
※リンク切れはご容赦願います。

WWFジャパンが発表した資料によると、「エコロジカル・フットプリント」という手法で計算すると、世界中の人が日本人と同じ生活をするには地球は2.3個必要なのだそうです。もっとも世界平均でのすでに地球が1.44個必要との事で、すでに人類は地球のお荷物になっているようですが・・・。

「はいはい、環境に配慮した生活を送れってことね」

・・・という反応が返ってきそうですが、WWFがホームページで提供しているデータを見ると、少し印象が違ってきます。

http://www.wwf.or.jp/activities/2010/08/884825.html

まず、「先進国」というくくりで見た場合、日本はドイツと並んでエコロジカル・フットプリントが最も低い国の部類に入ります。アメリカ・・・は論外としても、イギリス、フランスなども軒並み日本より高いのです。

もちろん、だから現状のままでよい、という訳ではありませんが、過度に卑下する必要もないはずです。バイオキャパシティという国土の生物生産力と比較すると、確かに自然環境への負荷は世界トップクラスですが、国土が豊かのを良いことに、高いフットプリントで生活してもよいという話でもないでしょう。例えばカナダは自然環境への負荷は圧倒的に低いですが、エコロジカル・フットプリントで比較すると日本よりもずっと高いのです。

もう一つは、これはアジアのデータしかありませんでしたが、日本はアジア圏では唯一エコロジカル・フットプリントが1990年代後半をピークに減少傾向にあること。
生活の豊かさや経済状況から考えると、必ずしも良いことではないのかもしれませんが、これはもっと強調されても良い気がします。まだまだ十分ではないにしても、それなりに評価はされるべきでしょう。
(もっとも、ヨーロッパを中心とする先進国の傾向が分からないと、一概に評価はできませんが・・・。)


さて、日本のエコロジカル・フットプリントを語る際に、避けて通れないのが、「輸入に頼っている」という現状です。「輸出入フットプリント」という数値で比較した場合、その差は明らか。asahi.comの記事が「自然環境にかけている負荷は平均の1.5倍で、足りない分は外国からの「輸入」で補っている。」と書いてあるのは確かにその通りでしょう。

ただ、個人的には「だから輸入を減らすようにしよう」というのは違うような気がしています。食糧自給率の問題もそうですが、「迷惑をかけないようにする」ことは必ずしも「関係を絶つ」ことではありません。むしろ必要なのはそうして世話になっていることも含めて「だから感謝を忘れないようにする」ではないでしょうか。

もちろん、心の中で感謝するだけでなく、何らかの形にして恩返しするということも含めて、「対価を払っているから良い」という考え方だけでなく、もっと積極的に「感謝していく」ことが大切な気がしています。

・・・最後は蛇足でした。