クロマグロ禁輸案、委員会で否決 ワシントン条約会議

asahi.com 3/18)

http://www.asahi.com/international/update/0318/TKY201003180505.html
※リンク切れはご容赦願います。

モナコが提案していた地中海(と大西洋)のクロマグロ禁輸措置については、以前も一度書いたことがありますが、戦々恐々としていたわりには、圧倒的大差で(委員会では)否決されてしまい、なんとなく拍子抜けしてしまった感じもあります。

無記名での投票であったことも影響したのか、モナコの提案に関してはEU加盟国さえ下回る賛成票。なんだか(モナコの立場に立つなら)泣けてきますが、一緒にEU修正案が出ていますので、さすがにモナコ提案は強硬すぎるなんて計算もあったのかもしれません。

そんなわけで、まだしばらくはクロマグロを楽しむことが出来そうですが、こうした提案が今後も出てくるようだと、価格にも影響する(そっちが目的だったんじゃないかと勘ぐりたくもなりますが)でしょうし、あまりのんびりと構えてはいられないような気がします。

そう!この機会に輸入に頼るクロマグロを、日本近海で獲れるようにして、自給率を高める必要があるのではないでしょうか!

・・・という話が、日ごろ食料自給率の向上を訴える人たちからあまり聞かなかったな〜と思ってしまうのは自分だけでしょうか。
実はそっちの方が気になっていたりします。

世界の8割のクロマグロを消費するという日本人。ちょっと調べてみましたが、蓄養クロマグロの輸入量は地中海産が約2万トン(2007年)。全体では約3万トン。対する日本の漁獲量は1千〜2千トンのようなので、その差は圧倒的です。まさに「まったく自給できていない」状態。

しかも今回の事態は、食料自給率向上を訴える際の根拠としてよく挙げられる、「相手が売ってくれなくなったらどうするんだ」というもの。まさに緊急事態です。
であれば、

「それみたことか、今回のクロマグロのようなことがないためにも、食料自給率は上げるべきなんだ。そして当然クロマグロ自給率もこの機会に上げるべきだ。」

という主張がもっと聞こえてきても良いのではないか・・・などと考えてしまいます。日本の魚介類の輸入量(生鮮冷凍だけで120万トン)を考えると、クロマグロが実際の自給率に与える影響は微々たるものだと思いますが、インパクトを考えればシンボルとして取り上げることだって出来たはずです。


とまぁそんなことを考えながら、食料自給率の議論の問題点は、総論としては必要であると叫ばれながら、いっこうにこうした「各論」に落とし込めないことだろうなと改めて感じてしまいました。私は食料自給率は上げなくて良いという考え方なのでなおのことそう感じるのですが、今回のクロマグロの禁輸も、実際に禁輸されていれば(クロマグロの)自給率は格段に跳ね上がったはずですので、食料自給率向上を訴える立場の皆さんから、もっと賛成の声が上がっていても良かったはずなのです。

少なくとも、「食料自給率を上げろ」という声ほどに、「クロマグロ禁輸賛成」という声は国内で聞かれなかった気がするのですが、どうなんでしょうね。
(食料自給率は、実際には「穀物自給率」なので関係ない、という意見もあるでしょうが、それでは単なる言い訳ですよね。)